その割安、本物?

バリュートラップ判定

ROE 3%の会社の妥当なPBRは、0.375倍です。

つまりその会社のPBRが0.4倍でも、それは割安ではありません。むしろ理論値より高い側です。 スクリーニングは「PBR1倍割れ」でその銘柄を拾い、あなたは割安だと思って買い、 そして3年経っても株価は動かない。これが割安の罠です。

PBR = PER × ROE は恒等式です (株価÷BPS =(株価÷EPS)×(EPS÷BPS))。だからPBRが低い理由は必ず2つのどちらか。市場が利益を評価していない(PERが低い)か、そもそも純資産を利益に変えられていない(ROEが低い)か。 前者は見直されうる安さで、後者は妥当な値付けです。 この2つを混ぜたまま「PBR0.5倍だから割安」と読むのが、罠の入口になります。

このツールは、①その低PBRが稼ぐ力の低さで説明できてしまわないか ②その低PERが来期に消える一過性の利益で作られていないか ③PBRの分母である純資産がのれんで空洞になっていないか ④EPSが縮み続けていないか ⑤自社株買いなど見直しの引き金が出ているか——の5つを判定します。

「PBRが低いから危険」とは言いません。万年割安と出ても、それは永遠に上がらないという意味ではありません。引き金が出れば同じ会社の評価は変わります。いま出ていないだけです。

用意するもの:証券会社アプリの株価と、決算短信1ページ目の1株当たり純資産(BPS)・1株当たり当期純利益(EPS)。 この3つだけで判定は始まります。決算の金額と引き金のチェックを足すほど、見る軸が増えます。3分で終わります。

まず動かしてみる

架空の3社です。実在企業の数字は1件も入れていません(株価は毎日、財務は3か月ごとに動くので、焼き込めば必ず古くなるため)。

1. どう見るか

端末内にだけ残ります。共有リンクにもOGP画像にも載りません。

製造・小売・サービスなど。格下げは効きません。

資本コスト(妥当PBRの分母)

既定値。日本株で一般的に置かれる資本コストの目安。この数字に正解はありません。あなたが置く前提で、妥当PBRは動きます。

決算の金額の単位(そろえてください)

判定はすべて比率なので、そろっていれば単位は何でも構いません。株価・EPS・BPSは常に円です。

2. 株価まわり(円)

ここの3つ(株価・BPS・実績EPS)だけで判定は始まります。会社予想EPSと過去のEPSを足すと、②と④の軸が使えるようになります。

証券会社アプリの現在値。終値でも構いません。PERとPBRの分子になります。

決算短信1ページ目の「1株当たり純資産」、または四季報の1株純資産。PBRの分母です。この数字の中身を疑うのが③の軸になります。

直近の本決算の「1株当たり当期純利益」。四半期のものではなく通期の実績を入れてください。実績PERの分母であり、ROE(= EPS ÷ BPS)の分子でもあります。

決算短信1ページ目の「通期の連結業績予想」の1株当たり当期純利益。これが実績を大きく下回るなら、いま見えている低PERは来期に残りません。

1期前の通期実績。利益が伸びているのか縮んでいるのかを見ます。

2期前の通期実績。単年の振れをならすために、この2期の年率を主に使います。

3. 決算の数字(百万円・任意)

入れなくても判定は出ます。入れた分だけ見る軸が増えます(②低PERの中身と③純資産の質)。

売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
自己資本
総資産
のれん
繰延税金資産
流動資産
流動負債
  • 売上高決算短信1ページ目の「売上高」(会社によっては営業収益)。参考として表示するだけで判定には使いません。
  • 営業利益決算短信1ページ目の「営業利益」。本業の利益とEPSがどれだけ離れているかを見ます。赤字は △ や − を付けてください。
  • 経常利益決算短信1ページ目の「経常利益」。当期純利益がここを超えていたら、特別利益か税効果の戻しが乗っています(税率ぶん、通常は7割程度に減ります)。
  • 当期純利益「親会社株主に帰属する当期純利益」。EPSの元になっている利益そのものです。
  • 自己資本決算短信2ページ目「連結財政状態」の「自己資本」。純資産合計から新株予約権と非支配株主持分を除いたものです。のれんの比率を出すのに使います。
  • 総資産貸借対照表の資産合計。自己資本比率を出すのに使います。
  • のれん貸借対照表の無形固定資産の中の「のれん」。買収した会社の値札のうち、純資産を超えて払った分です。減損すれば純資産から消えます。
  • 繰延税金資産貸借対照表の「繰延税金資産」。将来利益が出る見込みを前提に立てている資産なので、見込みが崩れると取り崩されて純資産が減ります。
  • 流動資産貸借対照表の流動資産合計。流動比率を出すのに使います。
  • 流動負債貸借対照表の流動負債合計。

4. 見直しのきっかけ

割安が見直される引き金です。確認できたものだけチェックしてください。分からないものは外しておくほうが安全側に出ます。

計算はすべてこの端末の中で終わります。入力した数字はサーバーに送られません。 PBR 1.0倍未満か実績PER 15倍未満で、割安の質を問う場面に入ります。

これは相場や業績の予測ではなく、過去の決算数値の整理です。 ここで出しているのは、あなたが入力した株価・EPS・BPS・決算の金額を決められた式に入れた結果だけです。「万年割安」と出ても、その株が永遠に上がらないという意味ではありません。自社株買い・増配・東証のPBR改革への対応・政策保有株の縮減・事業再編・親子上場の解消といった引き金が出れば、 同じ会社の評価は変わります。判定に使った妥当PBRも「いまの利益が増えも減りもせず続く」という仮定を置いた目安で、 成長する会社では低く出すぎます。 逆に、灯がひとつもつかない会社が買いという意味でもありません(このツールは5つの角度しか見ていません。 訴訟・規制・取引先の集中・経営陣の姿勢はひとつも見ていません)。 判定は「決算資料と適時開示を自分で読み直す合図」として使ってください。売買や個別銘柄の推奨ではありません。

あわせて使う

ROEデュポン分解 — その高ROE、本物?
このツールが「妥当PBR = ROE ÷ 資本コスト」の分子に使っているROEを、さらに3つに割る側です。ROEが借入で作られていないかを確かめてから、こちらの判定に戻ってください。
利益の質スキャン — その黒字、本物?
PERの分母である当期純利益が、キャッシュで裏づけられているかを見ます。②の軸をもっと深く掘る担当です。
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④の軸(EPSが縮んでいないか)の成長株版。増収率の水準ではなく変化を見ます。
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割安株を探す入口です。ここで拾った低PER・低PBRの銘柄を、このツールで「本物か罠か」に分けてください。
著名投資家 手法切替 銘柄判定ハブ
同じ銘柄を6人の投資家の基準で見比べます。グレアム流の割安基準とバフェット流の質の基準では、同じPBR0.6倍の読み方が変わります。
決算短信 3行要約
数字を書き写す前の入口に。短信1ページ目を3行に整理します。
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株主優待 存続リスク スコアラー
低PBRの高配当・優待銘柄を長く持つときに。優待が続く体力があるかを見ます。